专利摘要:
本発明は,相溶性及び表面光沢に優れた絶縁被膜形成用被覆組成物及び被膜形成方法を開示する。前記被覆組成物は,第1リン酸アルミニウムと第1リン酸亜鉛との混合液100gに対して,水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとの混合液0.5〜5g,ポリエステルエマルジョン樹脂150〜300g,ケイ酸アルミニウム3〜10g,及びキレート剤0.5〜6.0gが添加されてなる被覆組成物において,前記ポリエステルエマルジョン樹脂は2,000〜15,000の重量平均分子量,15〜25%の固形分,及び100〜500cpの粘度を有する。よって,本発明は,クロムを含有しないながらも,厚膜の無方向性電気鋼板に適用の際にも絶縁性,耐食性,被膜密着性,相溶性及び表面光沢に優れた効果を得ることができる。
公开号:JP2011508086A
申请号:JP2010540555
申请日:2008-11-10
公开日:2011-03-10
发明作者:キム,ジェ−クヮン;キム,ジュン−ウ;パク,スン−ボク;ハン,チャン−ヒ;ハン,ミン−ス
申请人:ポスコ;
IPC主号:C23C22-12
专利说明:

[0001] 本発明は,絶縁被膜形成用被覆組成物及び無方向性電気鋼板の絶縁被膜形成方法に関する。特に,本発明は,クロム(Cr)を含有せず,優れた成分組成間の相溶性を有し,厚膜の無方向性電気鋼板の製造においても表面光沢に非常に優れるうえ,耐食性及び応力除去焼き鈍し(SRA,Stress Relief Annealing)後の被膜密着性にも優れた無方向性電気鋼板用被覆組成物,及び被膜形成方法に関する。]
背景技術

[0002] 最近,無方向性電気鋼板の磁性特性の向上による高級製品の出現により,無方向性電気鋼板が大型の風力発電機又は火力発電機用として使用されており,これにより鋼板間の高絶縁性が要求されている。]
[0003] 絶縁抵抗を高めることが可能な従来の方法としてはクロム系酸化物の使用を挙げることができるが,クロムは環境問題を引き起こすおそれがあるので,最近各国別に規制を強化している実情がある。]
[0004] 最近,電気鋼板被膜用被覆組成物の無クロム化が盛んに行われているが,大きくは,クロム酸化物の不在による耐食性及び密着性の低下を補強するためにリン酸塩を導入する方法と,コロイド状シリカの導入によってバリア効果を誘導する方法に区分される。前記リン酸塩は,密着性及び耐食性を向上させることができるが,リン酸塩を使用する場合,リン酸塩に存在する遊離リン酸が被膜のスティッキー(sticky)現象を誘発してきた。このような前記遊離リン酸によるスティッキー現象を防止するために,有機酸などを添加する技術が提案されてきた。]
[0005] ところが,上述したリン酸塩又はコロイド状シリカを主軸とする被膜用被覆組成物の場合,リン酸塩はスティッキー問題があり,コロイド状シリカは耐食性の向上に限界があるので,完璧なクロム酸化物代替技術の商用化は未だ難しい現実である。]
[0006] 前記スティッキー現象を解決し且つ耐食性及び絶縁性を向上させるために合成樹脂を添加する方法が提案されてきたが,合成樹脂を添加する場合,絶縁性などは向上するが,リン酸塩などの無機系成分との相溶性が低下する問題点があった。特に,厚膜で被覆される無方向性電気鋼板の場合,光沢が著しく低下する問題点があった。]
発明が解決しようとする課題

[0007] そこで,本発明は,上述した従来の技術の問題点である,リン酸塩と合成樹脂を添加する結果として現れる相溶性及び厚膜被覆時の表面光沢の低下を防止するためになされたもので,その目的は,相溶性及び表面光沢に優れた絶縁被膜形成用被覆組成物及び絶縁被膜形成方法を提供することにある。]
課題を解決するための手段

[0008] 本発明によれば,第1リン酸アルミニウムと第1リン酸亜鉛との混合液100gに対して,水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとの混合液0.5〜5g,ポリエステルエマルジョン樹脂150〜300g,ケイ酸アルミニウム3〜10g,及びキレート剤0.5〜6.0gが添加されてなる被覆組成物において,前記ポリエステルエマルジョン樹脂は2,000〜15,000の重量平均分子量,15〜25%の固形分,及び100〜500cpの粘度を有することを特徴とする,絶縁被膜形成用被覆組成物を提供する。]
[0009] また,本発明によれば,前記絶縁被膜形成用被覆組成物を鋼板上に片面当り2.0〜6.0g/m2で塗布し,350〜700℃の温度で10〜50秒間加熱処理して絶縁被膜を形成する方法,及び前記方法で製造された膜厚2μm以上の厚膜としての絶縁被膜においても優れた表面光沢を有する無方向性電気鋼板を提供する。]
発明の効果

[0010] 本発明は,無機系組成物との相溶性に優れたポリエステルエマルジョン樹脂などを添加した被覆組成物を用いて無方向性電気鋼板に絶縁被膜を形成した場合,相溶性,絶縁性,耐食性及びSRA後の被膜密着性に優れるうえ,膜厚2μm以上の厚膜の絶縁被膜においても表面光沢が低下しない,クロムが排除された無方向性電気鋼板絶縁被膜を得ることができる。]
図面の簡単な説明

[0011] 低い周波数領域(A)における分子量に応じる貯蔵弾性率(storage modulus)(G’)が増加することを示すグラフである。]
実施例

[0012] 本発明のある観点によれば,第1リン酸アルミニウムと第1リン酸亜鉛との混合液100gに対して,水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとの混合液0.5〜5g,ポリエステルエマルジョン樹脂150〜300g,ケイ酸アルミニウム3〜10g,及びキレート剤0.5〜6.0gが添加されてなる被覆組成物において,前記ポリエステルエマルジョン樹脂は2,000〜15,000の重量平均分子量,15〜25%の固形分,及び100〜500cpの粘度を有することを特徴とする相溶性及び表面光沢に優れた絶縁被膜形成用被覆組成物を提供する。]
[0013] 前記リン酸塩は55〜60重量%の固形分及び30〜70cpの粘度を有してもよい。]
[0014] 前記水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとの混合液はリン酸塩の総重量に対して55〜60重量%の固形分を有してもよい。]
[0015] 前記ポリエステルエマルジョン樹脂は40〜50のガラス転移温度(Tg)及び4〜5の酸度(pH)を有してもよい。]
[0016] 前記キレート剤は,チタン酸トリエタノールアミン,2,2,3−チタニウムニトリロトリセタノレート,及び有無機チタネート−多孔質複合物を含むチタニウム系化合物の中から一つ以上選ばれてもよい。]
[0017] また,本発明の他の観点によれば,前記被覆組成物を鋼板上に片面当たり2.0〜6.0g/m2で塗布し,350〜700℃の温度で10〜50秒間加熱処理して絶縁被膜を形成する無方向性電気鋼板の絶縁被膜形成方法を提供する。]
[0018] また,本発明の別の観点によれば,前記絶縁被膜形成方法で製造されて膜厚2μm以上を有し,相溶性及び表面光沢にも優れた厚膜としての絶縁被膜を含む,無方向性電気鋼板を提供する。]
[0019] 通常,無方向性電気鋼板をモーター又はトランスの鉄心に使用する場合,製品の規格とおりに打抜きした後,一定の枚数を重ね合わせて積み上げた後,溶接又は接着によって鉄心にする。もし応力緩和熱処理(SRA)工程を伴う場合,特に焼き鈍しの後に密着性,絶縁性,耐食性などに変化が生じるおそれもあるので,前記工程後の物性が重要になる。無方向性電気鋼板用被膜組成物にクロムが含有されていると,SRA工程後の被膜物性を向上させるのに大きく役に立つ。一方,クロムを含有しない被膜組成物の場合,前記クロムの代替物質としてリン酸塩が使用できるが,被膜中に残存する微量の遊離リン酸によるスティッキー現象又は焼き鈍し時の接着性問題が発生しうる。また,クロム化合物の充填による被膜の緻密性などの効果を得ることができないため,被膜の物性低下を防止するには限界がある。]
[0020] 上述した前記リン酸塩は被膜乾燥後に遊離リン酸を発生させ,前記遊離リン酸は湿気を吸着することにより,被膜された鋼板の密着性及び耐食性が低下する。また,SRA後の被膜密着性の低下原因は,被膜組成物に添加されるエマルジョン有機樹脂及びリン酸塩との相溶性の度合いによって異なる。前記相溶性はエマルジョン樹脂の分子量によるレオロジー的粘弾性及び塗布後の表面光沢との関係を介して解決する。]
[0021] したがって,本発明は,クロムを排除する場合に発生する耐食性及び密着性の低下問題を克服し,SRA後の被膜密着性を向上させるために,第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)と第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)との混合リン酸塩に水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとの混合物を添加する。前記水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとの混合物の固形分は,リン酸塩の総重量に対して55〜60重量%である。前記混合リン酸塩100g当たり,水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとの混合物0.5〜5g,重量平均分子量2000〜15,000及び固形分20〜25重量%のポリエステルエマルジョン樹脂150〜300g,ケイ酸アルミニウム3〜10g,及びキレート剤0.5〜6.0gを添加することにより,被膜組成物が製造される。前記組成物を無方向性電気鋼板上に片面当たり2.0〜6.0g/m2の範囲となるように塗布した後,350〜700℃の温度範囲で10〜30秒間加熱処理することにより,絶縁被膜が形成される。]
[0022] 次の方法によって,塗布量が増加しても,表面光沢低下が防止され且つSRA後の被膜密着性が向上する。]
[0023] 水酸化コバルト及び水酸化ストロンチウムが添加された第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)と第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)との混合リン酸塩に,重量平均分子量2000〜15,000及び固形分15〜25重量%のポリエステルエマルジョン樹脂を添加することにより,厚膜塗布時の光沢を確保することができた。有機−無機複合被膜組成物と母材としての鋼板とのバインダーの役割をする前記リン酸塩は,密着性及び耐熱性を向上させる重要な役割をする。]
[0024] 前記リン酸塩は,第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)と第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)との混合リン酸塩である。前記第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)と第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)との配合比は,密着性と関係のある粘度に大きく影響するが,これは下記表1に良く示されている。]
[0025] エマルジョン樹脂は,重量平均分子量2,000〜15,000及び固形分20〜25重量%の物性を有するポリエステルエマルジョン樹脂である。厚膜塗布時の表面光沢の低下は前記エマルジョン樹脂の自体的な特性及びリン酸塩との相溶性に大きく影響されるものと明らかになっている。すなわち,特定分子量のエマルジョン樹脂とリン酸塩とを混合することにより,厚膜塗布時の光沢低下現象を防ぐことができ,これにより,外観に優れた厚膜被膜組成物を製造することができた。]
[0026] また,リン酸塩とエマルジョン樹脂との相溶性は,SRA後の被膜密着性に影響を与えるが,前記2成分間の相溶性がよくなければ,被膜組成物の製造直後,肉眼では観察されない微細な相分離現象又は絡み合い現象などが発生しうる。前記相溶性に劣る被膜組成物を用いて被膜を形成させた後,750℃で2時間程度のSRA工程を経ると,鋼板の表面に黒い灰などの異物が残って,前記鋼板をモーター又はコンプレッサーの製作に使用する場合,冷却油給水管が詰まったり製品の寿命が短縮されたりする問題を発生させるおそれがある。本発明では,このような問題点を解決するために,前記エマルジョン樹脂の分子量の調節によってリン酸塩との相溶性及び密着性を向上させる。]
[0027] 以下,本発明について詳細に説明する。]
[0028] 無方向性電気鋼板用絶縁被膜組成物の要求条件として最も代表的な性質の一つが耐食性であるが,従来ではクロム酸化物を用いて耐食性を向上させてきた。ところが,クロムは,皮膚接触の際に人体へ悪い影響を与えるうえ,廃水排出の際に環境問題を誘発させるので,使用を排除しようとする実情がある。]
[0029] 前記クロム酸化物の排除による耐食性及び被膜緻密性の低下を防ぐために,本発明は,第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)と第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)との混合リン酸塩を使用する。前記混合リン酸塩は,配合比に応じて耐食性及び密着性と関係のある粘度に影響を及ぼす。このような結果は第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)と第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2),第1リン酸マグネシウム(Mg(H2PO4)2)などの多様なリン酸塩を対象として様々な組み合わせを作り,これにポリエステルエマルジョン樹脂を混合した結果,第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)と第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)が固形分55〜60重量%及び粘度30〜70cpを有するとき,耐食性において最も良い結果を示した(表1参照)。第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)の比率が高い場合,適正粘度を維持することができず,乾燥後にスティッキー現象を示し,第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)の比率が高い場合,適正の耐食性を得ることができなかった。]
[0030] ところが,リン酸塩を使用する場合,上述したように遊離リン酸によるスティッキー現象又は粉末析出が問題となる。よって,本発明では,前記問題を解決するために広範囲な金属酸化物又は水酸化物を適用して実験した結果,水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとの混合物が遊離リン酸の析出及び被膜緻密性を向上させるものと確認された。特に,水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとを適切に混合したとき,スティッキー現象及び粉末析出を防止することができ,耐食性を向上させることができた。]
[0031] 一方,最近では,磁性特性に優れた無方向性電気鋼板の製品が出現して大型の風力発電機又は火力発電用として使用されており,これにより鋼板間の高絶縁性が要求されている。ところが,被膜組成物を厚膜で塗布するときに表面光沢が著しく低下するのは勿論のこと,このように被膜された製品がSRA工程などで処理される場合,激しい表面不良が発生した。前記原因は,リン酸塩とエマルジョン樹脂との相溶性に関係するもので,2成分間の相溶性はSRA後の被膜密着性にも非常に密接な関連がある。現象学的に,2成分間の相溶性が良くなければ,被膜組成物の製造直後,肉眼では観察されない微細な相分離現象又は2成分間の絡み合い現象が発生しうる。また,このように製造された被膜組成物で被膜を形成した場合,1μm以下の薄膜の場合には良好な表面光沢などの特性を有する製品を得ることができるが,2μm以上の厚膜になると表面光沢が著しく低下し,SRA後の被膜密着性も非常に悪化することが分かった。]
[0032] 前記問題の最も大きい影響因子はエマルジョン樹脂の分子量と理解できる。一般に,エマルジョン樹脂などを含む高分子溶液は,水などの粘性(ニュートン性)流体とは異なり,粘弾性(非ニュートン性)挙動を示す。流体の粘弾性挙動とは,物質の流動と変形に関する性質であって,高分子の分子量が大きくなると,流体の弾性が大きくなる。物質の粘弾性性質はレオメーター(rheometer)で測定し,エマルジョン樹脂の分子量による粘弾性は測定機器で得られる貯蔵弾性率(G’)から評価することができる。図1は分子量によるエマルジョン樹脂の貯蔵弾性率を示しており,分子量が増加するにつれて図1のA領域,すなわち低い周波数領域で貯蔵弾性率が増加する現象を示す。このような現象は,理論的に,弾性粒子を含む流体の挙動をシミュレートするエマルジョンモデルからも予測可能である。] 図1
[0033] 前記実験によって,エマルジョン樹脂の分子量の増加に伴って流体の弾性性質が増加し,これによりリン酸塩との相溶性が低下する結果を得た。これについては後述の実施例に詳細に記述した。したがって,本発明では,粘弾性が急激に増加しない分子量範囲のポリエステル樹脂を用いてリン酸塩との相溶性を向上させ,結果として厚膜塗布の際に優れた表面光沢とSRA後の被膜密着性を向上させることができた。]
[0034] しかも,厚膜塗布製品のSRA後に鋼板の表面に黒い灰が発生することを徹底的に防止するために,チタニウム系キレート剤を導入した。チタニウム系キレート剤は,トリエタノールアミンチタネート(triethanolamine titanate),2,2,2−チタニウムニトリロトリセタノレート(Titanium 2,2,2-nitrilotrisethanolate),及び有機チタネート−無機多孔質複合物(Mixture organic titanate and inorganic porous compounds)の中から一つ以上選ばれる。]
[0035] したがって,クロムを排除する場合に生じうる耐食性及び密着性を克服し,且つSRA後の被膜密着性を向上させるために,第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)と第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)との混合リン酸塩に,固形分がリン酸塩の総重量に対して55〜60重量%となるように水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムを添加した。従来の薄膜型無クロム被膜組成物で実現することができなかった表面光沢と絶縁性に優れた性質を示すことができるように,リン酸塩100gに弾性性質が強くならないように適正の分子量を有するポリエステルエマルジョン樹脂150〜300g,ケイ酸アルミニウム3〜10g,及びキレート剤0.5〜6.0gを添加することにより,被膜組成物を製造した。このように製造された前記被膜組成物を片面当たり2.0〜6.0g/m2の範囲となるように塗布した後,350〜700℃の温度範囲で10〜30秒間加熱処理して絶縁被膜を形成した。]
[0036] この際,使用したポリエステルエマルジョン樹脂は,エマルジョン状態で重量平均分子量2,000〜15,000の,ガラス転移温度(Tg)40〜50℃及び固形分15〜25重量%の物質を使用する。ポリエステルエマルジョン樹脂の分子量が2,000以下の場合,粘度があまり低くても被膜組成物に製造された場合,厚膜塗布が難しい。これに対し,ポリエステルエマルジョン樹脂の分子量が15,000以上の場合,粘弾性性質が強くてリン酸塩との混合の際に相溶性が低下し,厚膜塗布の際に製品の光沢が低下する。また,分子量2000〜15,000以上のエマルジョン樹脂を使用するにおいて,リン酸塩100g当たり,30g以下のエマルジョン樹脂を使用する場合には相対的にリン酸塩の比率が高くなってスティッキー性及び粉末析出が発生し,これに対し,100g以上のエマルジョン樹脂を使用する場合には耐食性と相溶性が著しく低下することが確認される。]
[0037] また,シリカは,固体重量で3〜10gの水性アルミナコロイド状シリカを使用した。3g以下のシリカを使用する場合には被膜の造膜性及び耐食性が低下し,10g以上のシリカを使用する場合には被膜組成物の相分離を加速化させてSRA前後の密着性が低下することが観察された。]
[0038] 本発明では,前記被膜組成物を無方向性電気鋼板の表面に片面当たり2.0〜6.0g/m2の範囲で塗布した後,350〜700℃の温度範囲で10〜30秒間加熱処理すれば,密着性,耐食性及び相溶性に優れるうえ,厚膜適用の際にも優れた表面光沢を有する,絶縁被膜された無方向性電気鋼板を得ることができる。]
[0039] (実施例)
重量比で0.1%のSiを含有する板厚0.50mmの無方向性電気鋼板(120×60mm)を供試材とし,その上に各種処理液をコーティングバーを用いて2.0〜6.0g/m2の範囲で塗布した。また,このように塗布された試片を650℃で数秒間乾燥させた後,空冷する。]
[0040] これに対する評価方法は次のとおりである。]
[0041] SRAは,乾燥した100%N2ガス雰囲気下に750℃で2時間熱処理して評価した。絶縁性は,300PSI圧力の下で0.5Vの電圧及び1.0Aの電流を印加したときの電流値を測定して評価した。密着性は,SRAの前後試片を10,20,30〜100mmΦの円弧に接して180°曲げるときに被膜剥離のない最小円弧直径を測定して評価した。被膜の外観は,縞柄,光沢有無などを肉眼で観察して評価した。耐食性は,5%NaCl溶液に35℃で8時間試片を浸けて錆発生有無を評価した。本実験では,錆発生面積が5%以下の場合には優秀,錆発生面積が20%以下の場合には良好,錆発生面積が20〜50%の場合には若干不良,錆発生面積が50%以上の場合には不良とそれぞれ表示した。また,SRA後の被膜強度は,SRA後の被膜上に一定サイズの粘着テープを付けたり外したりしたときに現れる被膜剥離粉の付着有無及びテープの汚染程度をイメージプロセッシング技法を用いて定量化(%)した。例えば,0であれば,SRA後の被膜の表面から被膜剥離がないことを意味し,100であれば,テープの全体面積が被膜剥離で汚染していることを意味する。よって,この数字が高いほど被膜強度が良くないことを示す。]
[0042] 表1はリン酸塩の成分と金属酸化物による耐食性を示した。厚膜コーティングが可能なリン酸塩とポリエステルエマルジョン樹脂(重量平均分子量14,000)の重量比を予備試験によって得た。その結果によれば,リン酸塩100g当たりポリエステルエマルジョン樹脂を150〜300gの範囲で添加することが最も好ましいと言える。その後,無クロム系被膜組成物を製造するためには,リン酸塩の効果的な組み合わせによって耐食性と密着性を確保しなければならず,添加する金属酸化物がリン酸塩のスティッキー及び発粉現象を抑制することができなければならない。本発明に使用されたリン酸塩は,アルミニウム塩又は亜鉛酸化物とリン酸のモル比で調整される。このように製造されたそれぞれのリン酸塩を互いに混合すると,成分比に応じて粘度が異なるリン酸塩の組み合わせを作ることができる。]
[0043] 表1から分かるように,第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)と第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)とを混合して耐食性を確認した後,適切な混合比で優れた効果を示し,水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムも適切な混合比で添加したとき,スティッキー及び粉末析出現象を防止し,耐食性を向上させることができる。]
[0044] ]
[0045] 表1より導出された第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)と第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)との混合リン酸塩100g(固形分60重量%)を分子量の異なるポリエステルエマルジョン樹脂200gと混合してコーティング材を製造し,厚膜(2.5μm)を形成したとき,表面の光沢及びSRA後の被膜密着性の結果を表2に示している。]
[0046] ]
[0047] 表2から分かるように,エマルジョン樹脂の重量平均分子量が1,500の場合,表面光沢とSRA後の密着性が良好な結果を示したが,樹脂の粘度が不十分であって作業性が非常に不良であった。エマルジョン樹脂の重量平均分子量が2,000〜15,000の場合,厚膜塗布の際にも表面光沢が低下せず,SRA後の密着性も比較的良好な被膜を得ることができた。特に,エマルジョン樹脂の重量平均分子量が5,100の場合には,表面光沢が最も美麗な被膜を得ることができた。これに対し,重量平均分子量15,000以上のエマルジョン樹脂を用いて製造されたコーティング剤では,分子量が増加するにつれて,厚膜塗布の際に不透明で表面光沢が非常に不良な製品が得られた。これは,上述したように重量平均分子量15,000以上のポリエステルエマルジョン樹脂では,分子量が増加するにつれて粘弾性特性が増加しながら(図1のA領域),リン酸塩との相溶性を低下させて相分離を誘発するものと判断される。前記相溶性が低下した被膜組成物で厚膜を塗布するとき,表面光沢だけでなく,SRA後の密着性も非常に不良になることが分かった。] 図1
[0048] ところが,表1に示すように,クロム使用被膜組成物と同等の物性を示すためには最終的にSRA後の被膜密着性の向上を必要とした。よって,表2に示すように,このような問題をキレート剤とコロイド状シリカの導入により解決した。表3では,リン酸塩100g当り重量平均分子量5,100のポリエステルエマルジョン樹脂200gにケイ酸アルミニウムとキレート剤を各種量で添加することにより,被膜組成物を製造した。表4はこのように製造された被膜組成物を用いて形成された厚膜(2.5μm)の被膜特性を示している。]
[0049] ]
[0050] ]
[0051] 表4から分かるように,試験材15−3−8と15−3−9のように,水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとの混合物が添加された第1リン酸アルミニウム(Al(H2PO4)3)と第1リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)との混合リン酸塩100g当り,ケイ酸アルミニウム1.0〜3.0gとキレート剤0.1〜0.5gを添加したとき,耐食性及び被膜密着性に優れることを確認した。これは従来のクロムタイプの被覆組成物と比較して同等以上の水準と評価される。]
权利要求:

請求項1
第1リン酸アルミニウムと第1リン酸亜鉛との混合液100gに対して,水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとの混合液0.5〜5g,ポリエステルエマルジョン樹脂150〜300g,ケイ酸アルミニウム3〜10g,及びキレート剤0.5〜6.0gが添加されてなる被覆組成物において,前記ポリエステルエマルジョン樹脂は2,000〜15,000の重量平均分子量,15〜25%の固形分,及び100〜500cpの粘度を有することを特徴とする相溶性及び表面光沢に優れた絶縁被膜形成用被覆組成物。
請求項2
前記第1リン酸アルミニウムと第1リン酸亜鉛との混合液は,55〜60重量%の固形分及び30〜70cpの粘度を有することを特徴とする請求項1記載の相溶性及び表面光沢に優れた絶縁被膜形成用被覆組成物。
請求項3
前記水酸化コバルトと水酸化ストロンチウムとの混合液はリン酸塩の総重量に対して55〜60重量%の固形分を有することを特徴とする請求項1記載の相溶性及び表面光沢に優れた絶縁被膜形成用被覆組成物。
請求項4
前記ポリエステルエマルジョン樹脂は40〜50のガラス転移温度(Tg)及び4〜5の酸度(pH)を有することを特徴とする請求項1記載の相溶性及び表面光沢に優れた絶縁被膜形成用被覆組成物。
請求項5
前記キレート剤は,トリエタノールアミンチタネート,2,2,2−チタニウムニトリロトリセタノレート,及び有無機チタネート−多孔質複合物を含むチタニウム系化合物の中から一つ以上選択されることを特徴とする請求項1記載の相溶性及び表面光沢に優れた絶縁被膜形成用被覆組成物。
請求項6
請求項1〜5いずれか1項の絶縁被膜形成用被覆組成物を鋼板上に片面当り2.0〜6.0g/m2で塗布し,350〜700℃の温度で10〜50秒間加熱処理して絶縁被膜を形成することを特徴とする相溶性及び表面光沢に優れた無方向性電気鋼板の絶縁被膜形成方法。
請求項7
請求項6の方法で製造された,2μm以上の被膜厚さを有し,相溶性及び表面光沢に優れることを特徴とする無方向性電気鋼板。
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